「さあ、才能(じぶん)に目覚めよう」を読んだのだが

さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす: マーカス バッキンガム, ドナルド・O. クリフトン が目にとまったので,図書館で借りて読んでみた。
この本の一番の売りは,Clifton StrengthsFinder というオンラインで自分自身の才能の診断ができるツールのアクセスコードがついていることである。注意点としては,この診断は1度しか使えないということである。全部で180の問題があって,ある程度の時間が必要だが,中断ができないのである。さらに,1問につき20秒以内に回答しなければ,その判断は重要でないとされて次の質問に移ってしまう。それで何が分かるかといえば,34項目の資質のうち,自分の「強み」である5つだけである。
実は,本を読んでみると,オンライン診断ツールを使わなくても,ある程度自分の資質は分かるのである。だから,いきなり1600円も払ってテストのために本を買う必要はない。
この本は,タイトルは「さあ、才能(じぶん)に目覚めよう」というように,自己啓発に主眼をおいたもののように見えるが,実際は自分の強みが分かったとしても,その先にその強みをどうやって伸ばしていけばいいかについては書かれていない。むしろ,そのような資質の人間をどうやって組織の中に配置するかということに多くのページが割かれている。つまり,管理職向けの本なのである。
私は,この本のいかにも欧米的な考え方に両手を上げて賛同はできないが,言葉の定義についてはなるほどと思わせるものがあるので,引用しておこう。

  • 才能とは,無意識に繰り返される思考,感情,行動のパターンである。
  • 知識とは,学習と経験によって知り得た真理と教訓である。
  • 技術とは,行動のための手段である。

才能,知識,技術。この三つが組み合わさって初めて強みが生まれる。(p. 34)
「強み」とは「常に完璧に近い成果を生み出す能力」のことだ。(p. 28)

要するに,「強み」は自分の「クセ」に近い性質を持っている。無意識に繰り返されるパターンなので,それを上手くコントロールすることができれば,多くの時間をそれに使うことになり,それだけ考えは深くなるだろうし,熟達も早くなるのだ。